リハビリ職がもっと感謝される働き方とは?明日からできる3つの具体例

「ありがとう」その一言が、私たちの心のガソリンになる。

毎日、患者さんのために汗を流し、知識を総動員してリハビリ計画を立てる。それなのに、なんだか自分の頑張りが伝わっていない気がする…。そんな風に感じて、一人、スタッフルームでため息をついた経験はありませんか?

「もっと患者さんに喜んでほしい」
「心からの『ありがとう』が聞きたい」

そう願うのは、あなたが患者さん一人ひとりに真剣に向き合っている証拠です。

こんにちは。私も皆さんと同じように、患者さんとの関係に悩み、自分の無力さに落ち込んだ経験を持つ一人の療法士です。特に新人時代は、目の前の業務をこなすのに必死で、「感謝される」なんて夢のまた夢だと思っていました。

でも、いくつかの大切なことに気づき、ほんの少し行動を変えただけで、患者さんやご家族の反応が驚くほど変わっていったんです。

今日は、そんな私の失敗談も交えながら、明日からすぐに試せる「もっと感謝される働き方」の具体的なヒントを、心を込めてお伝えしたいと思います。

なぜ?頑張っているのに「感謝」が伝わりにくい3つの理由

そもそも、なぜ私たちの頑張りは伝わりにくいのでしょうか。技術が足りないから?経験が浅いから?もちろんそれもあるかもしれません。でも、それだけじゃないんです。

1. リハビリが「当たり前」になっていませんか?

入院生活や通所サービスの中で、リハビリは「決まった時間に受けるもの」という日常の一部になりがちです。毎日歯を磨くことに、いちいち「ありがとう」と言わないのと同じで、サービスが日常に溶け込むほど、感謝の言葉は省略されてしまうことがあります。これは、決して悪意があるわけではないんです。

2. あなたの「想い」が伝わっていますか?

新人時代の私は、とにかく計画通りにメニューをこなすことで頭がいっぱいでした。
「はい、じゃあ次はこの運動を10回やりましょう」
「次は歩く練習です」
と、まるで流れ作業のように…。

今思えば、患者さんからしたら「なんでこの運動をやらされてるんだろう?」と不思議だったはずです。私たちがどんな想いで、どんな目的を持ってそのリハビリを提供しているのか。その「背景」が伝わらないと、ただの「運動」で終わってしまうのです。

3. 「感謝」のサイン、見逃していませんか?

はっきりとした「ありがとう」という言葉だけが、感謝のしるしではありません。

  • リハビリの時間を心待ちにしてくれる表情
  • 以前より少しだけ明るくなった声のトーン
  • 「先生のおかげで、昨日テレビのリモコンが取れたよ」という小さな報告

これらも、患者さんなりの精一杯の「ありがとう」のサインかもしれません。私たちはつい言葉を求めがちですが、もっとたくさんの感謝のサインが、すぐそばに隠れている可能性があるんです。

明日からできる!心からの「ありがとう」を引き出す3つの具体例

難しく考える必要はありません。いつものリハビリに、ほんの少し「プラスアルファ」を加えるだけ。私が実際に試して効果があった、3つの方法をご紹介します。

具体例1:魔法の「ひと言」をプラスする

ただメニューを伝えるのではなく、その方の「人生」や「希望」に繋がる言葉を添えてみましょう。

【Before】
「じゃあ、ベッドから車椅子への乗り移りを練習しましょう」

【After】
「〇〇さんが楽しみにしている、週末の息子さんとの外出。その時に楽に車に乗れるように、乗り移りの練習をしてみませんか?」

どうでしょうか。後者の方が、患者さんも「よし、頑張ろう!」と思える気がしませんか?

リハビリの後にも、ひと言プラスしてみましょう。
「今日の歩き方、すごく安定してましたね!私もなんだか嬉しくなっちゃいました」
と、自分の感情を素直に伝えるのも効果的です。あなたが喜んでいる姿を見て、患者さんもきっと嬉しくなるはずです。

具体例2:ご家族を「最強の味方」にする

患者さんを支えるご家族は、私たちにとって最強のパートナーです。ご家族を巻き込むことで、感謝の輪は大きく広がります。

例えば、リハビリ室の隅で心配そうに見ているご家族に、
「お父さん、今日こんなことができるようになったんですよ!ご自宅でも、この調子で続けてみてくださいね」
と、ポジティブな成果を具体的に共有します。

すると、ご家族は「家での私たちの苦労も見てくれているんだ」「この先生は、家族のことまで考えてくれている」と感じ、信頼関係がぐっと深まります。そして、その信頼は、患者さん本人からの感謝にも繋がっていくのです。

具体例3:「なぜ?」を伝える小さな習慣

「この運動には、どんな意味があるんだろう?」という患者さんの疑問に、先回りして答えてあげましょう。

「今やっているこの運動、実はトイレでズボンを上げる時に使う筋肉を鍛えているんですよ」
「この練習は、お箸をしっかり持つための、指先の感覚を思い出させてくれるんです」

このように、訓練の目的を、患者さんの「生活」に結びつけて説明するだけで、「自分のために考えてくれているんだな」という想いが伝わります。連絡ノートやベッドサイドのメモに、簡単な言葉で「今日の目標:お茶碗をしっかり持つ練習」などと書いておくのも、他職種やご家族への素晴らしいアピールになりますよ。

最後に、一番大切なこと

ここまで具体的な方法をお伝えしてきましたが、最後に一つだけ、忘れないでほしいことがあります。

それは、「感謝されること」を目的にしない、ということです。

「ありがとう」を追い求めすぎると、それが得られなかった時にあなたが苦しくなってしまいます。感謝は、あくまで良い関係性を築き、質の高いリハビリを提供した「結果」として、後からついてくるご褒美のようなもの。

何より大切なのは、あなたが自分自身の仕事を認め、その価値を信じることです。

毎日、患者さんの人生に寄り添い、昨日より少しでも良い未来を創ろうと奮闘している。そのあなたの姿は、誰がなんと言おうと、尊いものです。

まずは明日、たった一つでいいので、今日お話ししたヒントを試してみてください。完璧じゃなくて大丈夫。その小さな一歩が、あなたの働く毎日を、もっと温かく、やりがいに満ちたものに変えてくれるはずです。

あなたの頑張りを、心から応援しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました