若手リハビリ職のあなたへ。「多職種連携、うまくいかない…」そのモヤモヤ、よく分かります。

新人の頃、私もそうでした。
「多職種連携は大事だよ」
「チームで患者さんを診るんだ」
って、入職する前から耳にタコができるほど言われてきましたよね。

でも、いざ現場に出てみたらどうでしょう?
「あれ?なんか話が通じない…」
「この情報、なんで伝わってないんだろう?」
「意見を言っても、なんとなくスルーされてる気がする…」

そんな風に感じて、心の中で「あぁ、もう!」って思っちゃうこと、ありませんか?
正直、私も新人時代はしょっちゅうそうでした。

この記事を読んでいるあなたは、きっと真面目で、患者さんのことを一番に考えているはず。だからこそ、多職種連携がスムーズにいかないことに、もどかしさや、もしかしたら少しの無力感を感じているのかもしれませんね。

大丈夫です。あなたは一人じゃないし、それは決してあなたのせいだけではありません。多くのリハビリ職が、特に若手のうちは、この「多職種連携」という大きな壁にぶつかります

今日は、その「うまくいかない」と感じる気持ちに寄り添いながら、明日からほんの少しだけ、連携がスムーズになるかもしれないヒントを、私の失敗談も交えながらお伝えしていきたいと思います。

「うまくいかない」と感じるのには、こんな理由があるのかもしれない

なぜ、私たちは多職種連携で「うまくいかない」と感じてしまうのでしょう?いくつか、よくある原因を考えてみました。

  • 情報共有のすれ違い:
    「この患者さんのこんな情報、前に伝えたはずなのに…」
    「え、そんな話、聞いてませんけど?」
    なんてこと、よくありますよね。
    口頭での伝達だけだと、抜け漏れや誤解が生じやすいですし、忙しい中で相手がきちんと記憶してくれているとは限りません。
  • 役割分担の曖昧さ:
    「これって、誰がやるべき仕事なんだろう?」
    「私が介入していいのかな?」
    といった疑問が解決されないまま進んでしまうと、二度手間になったり、逆に誰も動かなくなったり。
  • 専門性の伝え方(と受け取り方):
    私たちはリハビリのプロですが、他職種の方は私たちの専門用語や、リハビリがどんな効果をもたらすのかを、十分に理解しているとは限りません。
    そして、私たちもまた、相手の専門性を
    「分かっているつもり」になっているだけかもしれません。
    胸を張って「私たちが何ができるのか」を伝えきれていない、あるいは相手がそれをどう受け止めるかまで考えられていない、ということも。
  • 「忙しい」という共通の壁:
    みんな、目が回るほど忙しい。だから、じっくり話す時間がない。簡単な情報共有で済ませてしまったり、聞きたいことがあっても「今話しかけたら迷惑かな…」と躊躇してしまったり。

実は私、新人時代、整形外科の患者さんの情報共有で、看護師さんに「なんでこの情報、ちゃんと伝えてくれなかったの!?」って、かなりキツいトーンで言われたことがあります。

その時は「え、私、ちゃんと共有ノートに書いて、口頭でも伝えたはずなのに…」って、正直、ショックと怒りと、何より悲しさでいっぱいでした。でも、後からよくよく考えてみたら、私が伝えた情報って、「リハビリの視点」での専門的な内容がほとんどだったんです。看護師さんがその場で求めていた情報とは、少しズレていたのかもしれません。そして、ノートに書いただけで「伝わった」と勝手に思い込んでいました。口頭でも忙しそうな時に一方的に話してしまったのかもしれません。

この経験から、「伝える」と「伝わる」は全然違うんだ、と痛感しました。

明日からできる!多職種連携を改善するための5つの小さなステップ

では、どうすればこの「うまくいかない」を少しでも減らせるのでしょうか。
いきなり完璧を目指す必要はありません。明日から、ほんの少し意識を変えてみましょう。

ステップ1:まずは「相手を知る」ことから始めてみよう

連携って、結局は「人と人とのつながり」です。だから、まずは相手に興味を持つことから始めてみませんか?

  • 「おはようございます」の質を上げてみる:
    ただ挨拶するだけでなく、例えば
    「〇〇さん、今日もお疲れ様です!」
    「昨日の〇〇さん(患者さん)の件、ありがとうございました!」
    など、一言添えるだけでも印象は変わります。
  • 相手の「仕事内容」に興味を持つ:
    「〇〇さんの部署って、普段どんなことをされてるんですか?」
    「この検査って、どんな意味があるんですか?」
    と、素朴な疑問をぶつけてみましょう。きっと、快く教えてくれるはずです。
    相手の仕事が見えると、自分の情報提供も「相手がどう活かせるか」を意識できるようになります。
  • 「困っていること」を想像してみる:
    相手はどんな情報が欲しいんだろう?どんな状況だと助かるんだろう?と、相手の立場に立って考えてみましょう。
    例えば、退院カンファレンスで、医師は診断名や治療方針、病状を簡潔にまとめてほしい。看護師は退院後の生活やケアの具体策を求めているかもしれません。それぞれの視点を想像するだけでも、伝えるべき内容が変わってきます。

ステップ2:自分の役割と専門性を「簡潔に、分かりやすく」伝える練習

私たちはリハビリの専門家ですが、残念ながらすべての人が私たちの専門性を深く理解しているわけではありません。だからこそ、相手に合わせて「翻訳」して伝えるスキルが必要です。

  • 「私にできること」をシンプルに表現する:
    「この患者さんの場合は、リハビリで〇〇(具体的な機能向上やADL改善など)を目指せます。それが、退院後の〇〇(生活の質向上、介護負担軽減など)につながります」というように、相手にとってのメリットも添えて話すと伝わりやすくなります。
  • 専門用語は避けるか、必ず解説を添える:
    「ROM制限が…」「MMTが…」といった言葉は、他職種の方には伝わりません。
    「関節の動きが悪くて、〇〇の動作が難しい状態です」
    といった具合に、平易な言葉で説明しましょう。
  • 伝える「型」をいくつか持っておく:
    急に振られても対応できるように、
    「患者さんの状態」
    「リハビリでできること」
    「私たちが協力できること」
    の3点をまとめる練習をしておくと便利です。

ステップ3:報・連・相の質を高める工夫

基本的なことですが、これが一番重要です。

  • 「5W1H」を意識する:
    「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」を明確に伝えることで、情報が正確に、スピーディーに伝わります。特に「なぜ伝えるのか(リハビリからの視点)」と「伝えたいことの結論」を先に言うと、忙しい相手でも頭に入りやすくなります。
  • 相手の「聞く準備」ができているか確認する:
    「今、少しお時間よろしいでしょうか?」と一言断ってから話す。忙しそうな時は、「後ほど改めてお伺いしてもよろしいですか?」と配慮することも大切です。
  • 聞く時は「相手の言葉を繰り返す」:
    相手が伝えてくれたことを「〇〇ということですね」と繰り返すことで、理解度の確認にもなりますし、相手も「ちゃんと聞いてもらえてる」と感じてくれます。

ステップ4:小さな成功体験を積み重ねる

いきなり劇的に変わることはありません。でも、小さな「できた!」を積み重ねることが、自信につながります。

  • 「ありがとう」を言葉にする:
    何か手伝ってもらったり、情報をもらったりしたら、大袈裟なくらい「ありがとうございます!助かりました!」と伝えましょう。感謝は、次の協力関係を築くための最高のエネルギーです。
  • 「まずはこれだけ」と決めて実践する:
    例えば、「今日の業務時間中に、他職種の人に一つだけ質問してみよう」「休憩中に、普段話さない他部署の人と一言交わしてみよう」など、ハードルの低い目標を設定して、実践してみましょう。

ステップ5:困った時は、一人で抱え込まず「頼る」

もし、どうしても解決できない、どうしたらいいか分からないと感じたら、迷わず先輩や上司に相談してください。

彼らはあなたより多くの経験を積んでいますし、きっとあなたと同じような悩みを乗り越えてきています。具体的なアドバイスをもらえるだけでなく、話を聞いてもらうだけでも、心が軽くなるはずです。一人で抱え込む必要は全くありません。

リアルな失敗談と、そこからの学び

もう少し、私の失敗談を聞いてもらえますか?

ある時、私は患者さんのADL訓練を進める上で、看護師さんにもリハビリ内容を理解し、協力を仰ぎたいと思っていました。張り切って「今日の訓練内容です!」と書いたメモを病棟に貼ったのですが、数日経っても、なんだかあまり活用されていない様子。

「せっかく書いたのに…!」とモヤモヤしていたのですが、ある日、病棟の看護助手さんが「これ、どういう意味ですか?」とメモを指差して聞いてきたんです。見てみたら、私が書いた専門用語がたくさん。しかも、簡潔にしすぎて、実際の介助にどう繋がるのかが分かりにくい内容でした。

その時、ハッとしました。
「私は、自分が伝えたいことだけを書いていたんだ」と。

看護師さんや看護助手さんが、患者さんの日々のケアの中で、どんな情報が必要なのか、どういう言葉で伝えれば「これなら今日の業務に役立つ!」と思ってもらえるのか、そこまで想像できていなかったんです。

そこから私は、伝え方を変えました。

  • 「今日の訓練」だけでなく、「今日のケアに役立つポイント」を明確にする。
    例:「離床時に〇〇(具体的な介助方法)を意識していただくと、患者さんの負担が減り、自立につながりやすいです」
  • 専門用語を一切使わない。
    誰でも理解できる言葉を選び、「こういう時はこうしてください」と具体的に書く。
  • 「何か気になることがあれば、いつでも声をかけてくださいね!」と一言添える。
    双方向のコミュニケーションを促すようにしました。

するとどうでしょう。
少しずつですが、「今日の〇〇さん、リハビリでこんな感じでしたよ」と向こうから声をかけてくれたり、「ここ、こうしたらいいのね!」とメモを活用してくれる人が増えていったんです。

完璧ではないけれど、この小さな一歩が、患者さんのケアの質を高めることにつながったと信じています。

あなたの成長が、患者さんの笑顔につながる

多職種連携は、一朝一夕にうまくいくものではありません。たくさんの試行錯誤や、時には失敗を繰り返しながら、少しずつ信頼関係を築いていく、まるで「人間関係の練習」のようなものです。

でも、あなたのその「うまくいかない」というモヤモヤは、あなたが真剣に患者さんのことを思い、より良いケアを提供したいと願っている証拠です。その熱い気持ちがある限り、あなたは必ず成長できます。

焦る必要はありません。
今日から、この記事で紹介したどれか一つだけでも、試してみてください。
小さな一歩が、未来の大きな変化につながるはずです。

そして、その一歩一歩が、患者さんの「もっと良くなりたい」という願いを叶え、たくさんの笑顔を生み出す原動力になります。

あなたの挑戦を、心から応援しています。
もし、この記事を読んで何か感じたことや、自分もこんな失敗をした、こんな工夫をしているという経験があれば、ぜひコメントで教えてくださいね。みんなで学び合って、一緒に成長していきましょう!

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