
こんにちは!リハビリテーション専門職として日々奮闘されている皆さん、お疲れ様です。
特に1年目から3年目の皆さんは、慣れない業務の中で患者さんとの関わりだけでなく、医師や看護師、栄養士、医療ソーシャルワーカー(MSW)など、さまざまな職種の方々との連携に戸惑うことも多いのではないでしょうか。
- 「先輩たちはサラッと話してるけど、どう切り出せばいいんだろう…」
- 「忙しそうな医師に、どこまで報告していいのか分からない…」
- 「言いたいことがうまく伝わらず、もどかしい思いをした…」
もしかしたら、そんな経験はありませんか?
多職種連携は、患者さんにとって最善のケアを提供するために不可欠なもの。でも、コミュニケーションに自信が持てないと、一歩踏み出すのが億劫になってしまいますよね。
大丈夫です。あなたの悩みは、きっと多くの先輩リハビリ職も経験してきた「あるある」です。この記事では、若手リハビリ職の皆さんが多職種連携を円滑に進めるための具体的なコミュニケーション術と、リアルな事例をご紹介します。少しでもあなたの「困った」が「できた!」に変わるヒントが見つかれば嬉しいです。
なぜ多職種連携のコミュニケーションは難しいのか?若手リハビリ職が抱える「あるある」の壁
そもそも、なぜ多職種連携のコミュニケーションは、時に難しく感じられるのでしょうか?いくつか共通の課題があります。
- 専門分野や視点の違い: 医師は「診断と治療」、看護師は「全身管理とケア」、リハビリ職は「機能回復と生活再建」など、それぞれの専門性から患者さんを見ています。
- 時間の制約: どの職種も日々多くの業務を抱え、十分なコミュニケーションを取る時間が限られていることもあります。
- 情報共有の温度差: リハビリ職にとっては重要な情報でも、他の職種にとっては優先度が低いと感じられることもあります。
- 自信のなさや遠慮: 経験の浅い若手の場合、「こんなことを聞いてもいいのかな?」「自分の意見を言っていいのかな?」と遠慮してしまいがちです。
これらの「壁」を乗り越えるために、どんな工夫ができるかを見ていきましょう。
円滑なコミュニケーションのための基本戦略3選
戦略1:相手の「視点」を理解する
コミュニケーションの第一歩は、相手が何を求めているか、どんな情報が必要か、どんな視点で患者さんを見ているかを想像することです。
- 医師に対して: 医師は、患者さんの病態や治療方針全体を統括しています。リハビリの報告は、患者さんの全身状態や治療経過にどう影響するか、医学的に見てどんなリスクがあるか、リハビリによってどのような「医学的変化」が見られたかを簡潔に伝えるのが効果的です。
- 看護師に対して: 看護師は、患者さんの日々の生活や身体介護を担っています。リハビリの内容が、日常生活動作(ADL)にどう影響するか、活動性や服薬、睡眠などとどう関係するかなど、具体的なケアに直結する情報が役立ちます。
- MSWやケアマネジャーに対して: 退院後の生活や社会資源の活用を調整しています。退院後の生活でどの程度自立して過ごせるか、どんな介助が必要か、福祉用具の提案など、将来を見据えた情報が求められます。
ポイント:「私が伝えたいこと」だけでなく、「相手が知りたいこと」を意識して情報を整理しましょう。
戦略2:情報を「構造化」して伝える「PREP法」
言いたいことがまとまらず、つい話が長くなってしまう…そんな時におすすめなのが「PREP法」です。
- P (Point): 結論・要点
- R (Reason): 理由・根拠
- E (Example): 具体例・事例
- P (Point): 再結論・行動提案
実践例:医師への報告
「〇〇さんのADLが向上してきた件でご相談です。(P)
昨日、歩行練習中につまずくことが増え、転倒リスクが高まっていると感じました。(R)
特に、廊下を歩いている際、不意に視線が下がり、わずかな段差につまずきそうになる場面が3回ありました。(E)
つきましては、〇〇さんの内服調整について、先生にご検討いただきたくご報告いたしました。(P)」
戦略3:報連相の「タイミング」と「姿勢」を見極める
- タイミングを見計らう勇気: 忙しそうでも、「今、少しお時間よろしいでしょうか?」と声をかける勇気を持ちましょう。
- メモを活用する: 要点をメモしておくことで、緊張しても落ち着いて話せます。
- 「相談」の姿勢で: 断定ではなく「ご意見を伺いたい」という姿勢で話すと、相手も快く応じてくれます。
若手リハビリ職のリアルな体験談から学ぶ〜成功と失敗の物語〜
事例1:医師への報告、失敗談から学んだ「簡潔さ」の重要性
1年目の私は、患者さんの状態を詳しく伝えようとするあまり、医師に長々と話してしまいました。「えっと、昨日の午後からリハビリで…」と説明を始めたものの、医師の表情はだんだん曇っていき、最後は「で、結論は?」と一言。
この一件で、「医師に必要なのは要点と医学的インパクト」だと痛感。次からは事前に話す内容をメモし、「P→R→E→P」で伝えることを意識するようになりました。今では「簡潔でわかりやすいね」と言ってもらえるようになりました。
事例2:看護師さんとの連携、すれ違いからの改善
ある日、患者さんが「ベッドからずり落ちそうになった」と看護師から報告されました。私は「リハの時は問題ないのにな」と思い、つい「リハビリ中は大丈夫でした」とだけ伝えてしまいました。
後から考えると、看護師が伝えたかったのは「病棟での安全性」でした。私は、自分の見た範囲だけで判断してしまい、看護師の視点を無視していたのです。
それ以降、「病棟ではどうでしたか?」「こちらではこうでした」と双方向の情報交換を意識するようになり、連携がスムーズになりました。
事例3:カンファレンスでの発言、小さな成功体験
チームカンファレンスで、「〇〇さんは退院後、在宅でのADL自立が課題です」と発言した際、MSWが「その情報ありがたい!サービス検討の参考になる」と言ってくれました。
それまでは緊張して黙りがちだった私ですが、「役に立った」と実感できたことで、少し自信が持てるようになりました。
まとめ:一歩踏み出そう!あなたのコミュニケーションはきっと伝わる
多職種連携のコミュニケーションは、決して特別なスキルではありません。大切なのは、相手の立場に立つこと、伝えるべき情報を整理すること、そして小さな一歩を踏み出す勇気です。
あなたの一言が、患者さんのより良いケアにつながるかもしれません。今日のカンファレンスで、1つの意見を言ってみる。明日の報告で、PREP法を意識してみる。それだけでも、大きな一歩です。
悩みながらも成長していくあなたを、きっと周囲は見守っています。あなたの声は、チームの力になります。
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